松江市と熊谷市と松本市の予算を比較
松江市の予算3の続き。
なんだか気になったので、松江市と熊谷市だけでなく、人口が同規模の松本市を加えて比較することにした。ちなみに、3市の中で人口・面積共に一番大きいのが松本市だが、予算規模が最も大きいのは松江市。
平成20年度当初予算の概要 − 松江市
http://www.city.matsue.shimane.jp/jumin/gyouzaisei/zaisei/t-yosan20/pdf/h20gaiyou.pdf
熊谷市:H20当初予算資料【詳細版】
http://www.city.kumagaya.lg.jp/about/zaisei/yosantuite/20yosangaiyou/files/hppdf.pdf
平成20年度一般会計予算額 − 松本市
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/buka/zaisei/zaisei/heisei20tousyoyosan/files/04.pdf
太字は、突出して多いものです。
種別 | 松江市(割合) | 熊谷市(割合) | 松本市(割合) | 備考 |
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議会費 | 5億円(0.6%) | 4億円(0.8%) | 5億円(0.7%) | 議員報酬や議会・委員会の運営経費 |
総務費 | 78億円(8.5%) | 66億円(11.8%) | 84億円(10.9%) | 全般的な管理事務に関する経費 |
民生費 | 216億円(23.6%) | 179億円(31.8%) | 210億円(27.1%) | 社会福祉、身体障害者、高齢者、児童福祉等に関する経費 |
衛生費 | 138億円(15.1%) | 54億円(9.6%) | 52億円(6.7%) | 保健事業や環境対策に関する経費 |
労働費 | 7億円(0.9%) | 4億円(0.8%) | 5億円(0.7%) | |
農林水産業費 | 33億円(3.6%) | 12億円(2.2%) | 20億円(2.6%) | 農業、林業、水産業に関する経費 |
商工費 | 45億円(5.0%) | 12億円(2.2%) | 64億円(8.3%) | 観光や商工業に関する経費 |
土木費 | 122億円(13.4%) | 76億円(13.6%) | 69億円(8.9%) | 道路・橋・公園・学校等の整備費や維持管理経費 |
消防費 | 26億円(2.9%) | 25億円(4.6%) | 22億円(2.8%) | 消防や防災に関する経費 |
教育費 | 99億円(10.8%) | 56億円(10.1%) | 102億円(13.1%) | 教育委員会や小中学校等に関する経費 |
災害復旧費 | 0億円(0.0%) | 0億円(0.0%) | 0億円(0.0%) | |
公債費 | 139億円(15.2%) | 69億円(12.3%) | 114億円(14.8%) | 市債の返済元本と返済利息、一時借入金の利子 |
諸支出金 | 3億円(0.4%) | 3億円(0.4%) | 25億円(3.2%) | |
予備費 | 0億円(0.0%) | 1億円(0.2%) | 1億円(0.2%) | |
歳出合計 | 918億円 | 564億円 | 777億円 | |
人口 | 19万人 | 20万人 | 22万人 | |
面積 | 530平方km | 159平方km | 919平方km | |
人口密度 | 368人/平方km | 1,280人/平方km | 247人/平方km | |
職員数 | 1,583人 | 1,124人 | 1,354人 | |
人件費 | 149億円 | 145億円 | 155億円 | 議員の報酬、市職員の給料・諸手当・退職金 |
市税 | 265億円 | 314億円 | 366億円 | 歳入。主たる自主財源 |
市債残高 | 1,437億円 | 493億円 | 948億円 | 一般会計のみ。平成18年前後 |
突っ込みどころ満載の結果が出ましたが、要約すると、
松江市の財政運営状況は、他の2市に比べて、ひどく劣っている。
ということにつきます。
松江市は他の2市よりも予算規模が大きいにもかかわらず、主たる自主財源の市税収入が最も少ないです。住民に手厚いサービスをしたり、産業振興のために様々な設備投資等をしたりしても、市税の増収にうまく繋げていないということです。投資額に対して、法人市民税や個人市民税、固定資産税が増えていないということで、すなわち投資効率が悪いのです。しかも借金が一番多い。。。
効果が薄そうな土木費や衛生費を大幅に削り、その分、商工費を増やして戦略的な産業振興(観光やRubyなどのオープンソース産業等)をはかったり、公債費を増やして市債残高を減らすなどした方がいいのではないでしょうか。特に、土木費については、将来的には逓減していくことが確実な状況にあるので、今のうちに抜本的な対策をした方がいいように思います。
もしかしたら平成20年の予算が特殊なだけで、過去の予算では全く違う結果が出るかもしれませんが、調べるのが面倒なので、取り合えず過去も同様な予算編成をしていたものと仮定します。
その上で。松江市の役人や議員は、予算編成について人口や面積が同規模の他の自治体と比較検討したことがなかったのかと疑問を持ちます。今までのように、国や県から予算を引っ張ってくることが難しくなっている状況が分かっていないのでしょうか。
今まで政治に対する関心が薄かったのですが、こうして生々しい数字が頭に入ってくると、嫌でも関心が高まります。国レベルでは予算規模が大きすぎて実感が湧きませんが、市町村レベルならばある程度身近に感じることができます。
なんとかしなければいけない、と感じる今日この頃です。取り合えず、もっと地方財政のことを調べてみることにします。